
オープンソースを政策や法律面から考えるイベント「Open Source Way 2004」で、経済産業省商務情報政策局が、小中学校を含めた若者にオープンソースをベースとしたカリキュラムを受講してもらい、世界レベルのトップ・エンジニアを育成する施策を検討していることを明らかにした。
経済産業省の2005年度オープンソース関連予算は、前年の倍額(18億円)を要求。新たに「早期高度IT人材育成支援事業(ITクラフトマンシップ・プロジェクト)」として2億5000万円を要求。前述の取り組みを行い、「囲碁や将棋の奨励会のIT版」としている。
「OSS(オープンソースソフトウェア)がIT産業に与えるインパクトと経済産業省の取組」と題し、経済産業省がオープンソースを支援する目的と具体的な取り組みとして、オープンソースを推進する目的は「選択肢の拡大、イノベーションの促進、人材育成」とし、足りない機能の補完として「オープンソース開発基盤整備事業」、実践の場の提供として「学校教育現場におけるオープンソース活用に向けての実証実験」、国際展開として「アジアオープンソースシンポジウム」、「日中韓オープンソース連携」、法的問題の分析としている。
OSS推進フォーラムが政府に利用促進を提言するなど、オープンソースへの動きは活発で、神戸でもこれをベースとした情報大学院大学が設置認可の方向。
「オープンソース=社会貢献」で、製品としてのソフトウェアやOS(オペレーティングシステム)を販売する会社を攻撃する発言も多々あります。会合では宗教裁判の様相を呈している場面を見かけます。
オープンソースは単なる方法論であり、その目的を理解している人が少ないようにも思います。
コンピュータ、ネットワークはシステムとして階層構造をなしており、物理的なハードウェアが最下層で、人間の操作やプログラムが最上層にあります。その中間に、これを補完するためのOSや、各種のミドルウェアが存在します。
車で例えれば、エンジンの構造がレシプロだろうが、ガスタービンだろうが、運転に関係ないのと同じ。階層的に構成されていることで、要は簡単に利用できるようにするもの。
ハードウェアを理解するのは、エンジンの構造・特性を理解することなので、より高度な運転はできるでしょう。しかし、車に乗る人のほとんどはエンジンの構造・特性を知りません。そして車の構造を理解する人は車を改造して、より高速化したり、効率的な機能を組み込む事ができるでしょう。しかし、それは自身にも社会にとっても、安全でない場合が多々あります。
車を設計する人、製造する人、運転する人。それぞれに必要とされる知識は違います。しかし、基本構造を理解する事は重要です。昔は中学校の技術家庭でエンジンの構造やトランスミッションの構造を教えました。同様に、コンピュータの基本構造を教える必要はあるでしょう。
ここで大事なのは、最終生産品の車やそのパーツであるエンジンは、その製造者が責任をもって保証します。オープンソースは世界中の人が協力してソフトウェアのパーツを共有していますが、そのソフトウェアパーツは誰が保証するのでしょうか。
ソフトウェアに限らず、「物」の製造者には「権利と義務」があります。
権利は著作権などの工業所有権であり、それを基に利用者から対価を得る事ができます。義務は動作保証であり、障害による損害賠償責任を追求されます。
これがライセンスという考え方なのですが、オープンソースにはこれがありません。
ソフトウェアパーツはパブリックな共有財産という考えで、その製造者へ補償を求めることはできません。利用者の自己責任においてこれを利用することになります。
多くのソフトハウス、エンジニアがオープンソースを利用していますが、その製造者責任を追求した場合、これを全面的に受ける事ができるのでしょうか。
「これはオープンソースのパーツであって、私の製作物ではないので、責任はない」と云う事ができるのか。法律上はできないのではないでしょうか。
無料のOSやパーツを使用していながら、システムを購入してみると有料のOSやパーツを使用しているのと同じぐらいの費用を請求されることがあります。
車やエレベータの制御など、そのシステム自体で使用し、利用する人から直接見えないソフトウェアでオープンソースを利用するのは、これはコストを削減する上でも有効です。これは会計などのビジネスでも同じ。
しかし、ソフトハウスがオープンソースによりシステムを開発し、第三者にこれを販売する際、問題発生時の責任の所在が明確にできるのかということ。タダの材料を使っているのですが、その作業料が以外に高いこと。さらには、造られたシステムに著作権を主張すること。
ちょっと違うように思います。
オープンソースを自分や自社のために使うのは良い事なのですが、第三者にこれを使って何かをやってもらうことについて、現在明確になっていないことが多くあります。
これが「法律的な問題」と雑駁な扱いになっており、目をそらしているのか、そらされているのか。
オープンソースにこのような課題がある以上、製品として保証されているソフトウェア、OSを使用する「安全性」を否定することはできません。
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